ガソリンスタンドをパラダイムシフトする
そこでまず、GSの特性をもう一度見直してみることから始めてみました。一般家庭から出る資源ゴミ(有価廃棄物)の分別回収を店頭で行うことにしたのです。98年頃、環境問題に関連して取組み始めた頃、自分でできる環境問題というと空き缶の回収程度だったように記憶しています。そこで、GSでその空き缶を回収しようと思い、回収BOXを店頭に設置しました。
すると「今までどうしてたんだろう?」と思うくらい空き缶を始めとする資源ゴミがどんどん集まってきました。
現状の家庭から排出される家庭ゴミの回収は地方自治体にその回収義務があります。僕たちのまち(地方自治体)では空き缶は月に2回(隔週水曜日)しか収集日がありません。いつでも24時間購入(INPUT)ができるのに、処分(OUTPUT)するには制約があります。その現状は、やはりおかしいのかもしれませんね。
一方、GSには防火壁が必ずあり、その前面はストックヤードとして空いています。そこを資源としてリサイクルできる資源分別ゴミの無料回収を始めました。
回収品目は、
- アルミ缶・スチール缶
- 牛乳パック
- PETボトル
- 乾電池
- 廃食油(てんぷら油)
他には、バッテリー、タイヤ、エンジンオイルなども一部有料で回収しています。
今後は、雑誌類・蛍光灯・各種ビン・生ゴミなどの回収も検討。
この資源ゴミの回収は、ガソリンスタンドのパラダイムシフトへの第1歩になりました。
GSが各家庭の資源ゴミの回収し、一時保管後、専門業者に引き渡すことができれば、分別収集効率が向上すると考えます。こうしてGSが資源ゴミの「中継ステーション」機能を果たせれば、循環型社会の一役を担えることができ、GS業界の社会的価値観も向上するのではないでしょうか。
消費者(各家庭)のメリット
- 回収日を気にする必要がなくなる。ストレスがなくなる。
- 「ついで」という感覚で資源ゴミを処理できる。
- 自身の家庭から排出される資源ゴミをしっかりリサイクルできるという満足感を得られる。
事業者(GS)のメリット
- 地域にとっての必要不可欠な「まちのステーション」になることができる。
- ガソリン(自動車燃料)を給油をためではなく、資源ゴミを回収するためにスタンドに立ち寄るという新しい来店動機が生まれる。
- GSが地域社会の重要な拠点となれば、そこで働くスタッフのモチベーションの向上にもつながる。
資源回収業者のメリット
- 資源としてリサイクルできるものをしっかり分別して、ある一定量を収集できるメリットがある。
- 各家庭一軒づつを回るのは非効率であるが、各地に点在するGSを定期的に巡回することで効果効率が良い。
(例)ある自動販売機のメンテナンス会社の場合、自社所有の空き缶リサイクル工場を100%稼動させるためには、自社のルートで回収できる空き缶は、工場稼働の60%に過ぎず、絶対的に空き缶が足らないという状況下にある。しかし、家庭から排出される空き缶をGSで回収してもらえれば、定期的にGSを回ることで不足分を補うことができる。
行政(地方自治体)のメリット
- 現在、家庭より排出される廃棄物は一般廃棄物として、各地方自治体が回収する義務がある。当然そこには税金が投入されているわけです。それが民間事業者の回収ステーションが機能すれば、自治体の回収の負担が減少する可能性がある。
- 行財政改革を進めている中、民間にできることは、民間でする。という原則に立つなら、一般廃棄物処理の完全民営化も視野に入れられるのではないか?
このように誰も困らない活動こそ、持続可能な社会を形成できる重要なコンセプトであると感じます。
このコンセプトは、近江商人に古くから伝わる「三方よし=売り手よし・買い手よし・世間よし」の考え方に基づきます。この三方よしは、個人では「己よし、相手よし、世間よし」とも言うそうです。いずれにしろ、はるか昔の商売の理念が、スロービジネスを語る上で、大きなキーワードになってくることに、時代の大きなサイクルを感じずにはおれません。